結婚生活は終わりを告げた。実家に帰りますと言ったら、父は「早かったな」と言っただけで娘が帰省するが如く引っ越しを手伝ってくれた。嫁に行った時と変わったのは、小さなよちよち歩きの子供がついてきたことだった。母はすでにこの世にはいない。父にとっては、娘が帰ってくるということは、住み込みのかせふが来たと思っているのだろうか?
実家に帰って最初にやったことは大掃除だった。子供の保育園も田舎だからか簡単に見つかり子供はいじめられることなく楽しく通園している。
弁当を毎朝作るのがちょっと大変だ。
「また、おんなじメニュー?」と生意気にも文句を言ってくる娘を見ていると「よしやるか」と気合を入れすぎる。
夕ご飯を作るついでに、朝のお弁当の仕込みをする。
冷凍食品を入れるだけの弁当に絶対にしないと決めていた。
毎日が忙しく、仕事を探す余裕はなかった。
母の遺品を整理していたら、自分の子供時代のアルバムが出てきた。
幼稚園の写真を見つけては、涙が出てきた。
いつも、幼稚園に迎えてきてくれた母は、3年前に癌でこの世を去った。
私が海外勤務で赴任するときに母は毎日メールをくれた。
そのメールは今でも消すことができない。
母は専業主婦だった。
私も結婚して退職して専業主婦になったが、結婚生活は短く終わった。
母のメールにいつも励まされていた。
「自分で決めた仕事だから、とことん頑張りなさい。でも、ギブアップしたくなったら私が1回だけ行ってあげる」
もし、天国にメールを送信できるなら、今、きて欲しい。
すぐにきて欲しい。
相談に乗って欲しい。
でも、無理ですよね。
思い出の写真を見ながら母の声が聞こえてきた。
「すぐに行動しなさい」
寝ている暇はなのです。
泣いている暇もないのです。
これから、娘を育てなければなりません。
父は永遠に生きてはいません。
どうやって、子育てと仕事を両立させて楽しい幸せな生活をしようかと
もがき苦しみながら考えている日々を送っていた。
あと数年に小学校に行く。
なにをやろうか?
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